訪中したショルツ独首相 米中対立と距離を置く姿勢を鮮明に 中国のG7切り崩しは成功 2022.11.7

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www.sankei.com

2022/11/4

【北京=三塚聖平】中国の習近平国家主席は4日、訪中したドイツのショルツ首相と北京の人民大会堂で会談した。新型コロナウイルスの世界的な流行が始まった2020年以降、先進7カ国(G7)首脳が訪中したのは初めて。習氏は会談で、ウクライナ情勢を巡り「国際社会は核兵器の使用や威嚇に共に反対すべきだ」と表明した。

ロシアの名指しは避けたものの、習氏が対露牽制と受け止められる発言を公にするのは異例。ウクライナでの核使用をちらつかせるロシアに危機感を抱く欧州連合(EU)に理解を示した形だ。EU内で強まる対中警戒論を押しとどめ、EU各国が対中政策で米国と連携を深めることを防ぐ狙いがありそうだ。

中国外務省によると、習氏は会談で、今年が中国とドイツ(西独)との国交樹立50年にあたると強調。その上で「現在、国際情勢は複雑で変化している。中国とドイツは影響力のある大国として手を携えて協力し、世界の平和と発展のため貢献すべきだ」と力説。また、中国との関係見直しを求める声が独国内で高まっていることを念頭に、「政治的な相互信頼を破壊するのは簡単だが、再建は難しい」とクギを刺した。

バイデン米政権が、中国などを専制主義国家とみなして民主主義国の結集や、中国経済のデカップリング(切り離し)を進めようとしていることを習政権は強く警戒。10月の共産党大会を経て総書記として3期目に入った習氏は、欧米諸国の切り崩しを図りたいものとみられ、ショルツ氏との会談でも「共に陣営対立を拒むべきだ」と訴えた。

自動車業界を中心に中国に依存するなど経済的な結びつきが強いドイツが切り崩しの標的になっている。中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は4日、「独企業が中国で失うものを、どこで埋め合わせることができるというのか」との専門家の見解を伝えた。

習氏は「双方は共通の利益という『ケーキ』を引き続き大きくすべきだ」と強調。新エネルギー、人工知能(AI)、デジタル化など新領域での協力強化を呼び掛けた。これらは中国が重視する分野で、ドイツを通じて西側の技術を利用する思惑もうかがえる。

ショルツ氏は習氏との会談後、李克強首相との共同記者会見に臨んだ。ロシアのウクライナ侵攻に触れ、「平和のために、あらゆる手段を尽くすべきだ」と指摘。また、「われわれはデカップリングは支持しない」と述べ、米中対立とは距離を置いた。

 

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