「殺されるかもわからん」王将創業期からの「しがらみ」解消に苦悩… まっとうな人が殺される 2022.11.1

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news.yahoo.co.jp

2022.10.30

王将フードサービスの社長だった大東(おおひがし)隆行さん(当時72歳)は、2013年12月19日に凶弾に倒れる1年ほど前から、周囲に思い悩む様子を目撃されていた。

「殺されるかもわからん」

 本気とも冗談ともつかない口調だが、深刻な様子は周囲に伝わっていた。大東さんが創業期から抱える同社のしがらみの解消を目指していた頃だ。

その詳細な経緯は、同社が事件後に設置した第三者委員会が16年3月に公表した報告書に記されている。

 報告書によると、同社は、加藤朝雄氏(故人)が1967年、京都・四条大宮に1号店を出店し、創業した。大東さんは69年に同店で働き始めた。姉は朝雄氏の妻で、店を広げていく朝雄氏を義弟として支えた。

 朝雄氏は77年頃、同じ福岡県出身の企業グループの経営者の男性(78)と知り合った。やがて出店に伴う建築関係の許認可手続きなどで頼るようになった。

 ビール会社出身で、朝雄氏が死去した93年に就任した2代目社長の望月邦彦氏(86)は取材に、経営者について「王将の拡大期を支えた『恩人』だった」と語る。

 翌94年、朝雄氏の長男が3代目社長に就任。専務の次男と2人で代表権を担った頃から、王将と企業グループ側との関係がいびつになっていく。

 ▽ハワイの土地(18・2億円)▽京都・祇園のビル(5・3億円)▽貸付金(87・8億円)――。適正な評価額とかけ離れた価格で不動産を購入したり、巨額の資金を貸し付けたりし、第三者委が認定した企業グループ側との不適切取引は2005年までの10年間に総額約260億円。うち約170億円が回収不能になっていた。

 企業グループ側との取引の多くは取締役会に諮られていなかった。第三者委は一連の取引について「創業家の独断専行」と認定した。

不適切取引は大東さんが4代目社長に就任した00年以降も続いた。01年3月期には有利子負債が452億円に膨らみ、02年には金融機関から融資を受けられず、会社の存続が危ぶまれる事態となった。長男と次男が責任を取って取締役を辞任し、企業グループ側との交渉に大東さんが自ら乗り出すことになった。

 

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