奈良県が止めたメガソーラー計画の現場から見えてきたもの 2022.10.5

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news.yahoo.co.jp

2021/8/27

奈良県北西部の平群町大阪府と接するこの町にメガソーラー(大規模太陽光発電)の建設が計画された。山の中腹48ヘクタールを造成して5万9500枚のソーラーパネルを敷きつめるというものだ。今年2月より工事が始まり、予定地の山腹に広がる里山林が全部伐採された。

 この計画に反対していた平群町有志でつくる「平群のメガソーラーを考える会」は、4月に原告1000人近い訴訟を提起したものの、工事は進行し計画を止める法的な根拠はないも同然だった。

 ところが6月23日、奈良県議会で議員よりこの問題について質問を受けた荒井正吾知事は、工事の停止を指示したことを明かした。現在、工事現場は完全にストップしている。

 これは全国的にも珍しい、工事が始まったメガソーラーを都道府県レベルで止めた事例となるだろう。各地で頻発しているメガソーラー問題にとって一つの事例になるかもしれない。そこで、何が逆転をもたらしたのか報告しよう。

 まず私の立場を説明すると、この平群町の隣の生駒市に住んでいて、メガソーラー建設計画についても比較的早い時期から耳にしていた。建設予定の現地を見て回ったこともある。

 そして「考える会」の方々とも昨年7月に会っているのだが、その時の状況は、まったく八方ふさがりだった。土地は事業主がすべて買い占めているし、道路とも接しているから重機搬入なども手間はかからない。地元自治会の同意も取り付け、林地開発許可など必要な町や県、国からの認可も受けていた。行政的な手続きはすべて終えていたのだ。

「考える会」は弁護士などにも相談していたが、訴訟を起こしても勝てる見込みが薄く、なかなか賛同を得られなかったという。

 

ただいくつかわかった事情もある。まず事業主体となっているのは共栄ソーラーステーション合同会社だが、これは完全なペーパーカンパニーで、実際の事業主は「エバーストリーム・キャピタルマネジメント」というアメリカの投資会社であること。

 全国各地で進むメガソーラー建設計画の多くは外国のファンド主導が多いのである。まさに「外資に日本の森が買収」されていたのだ。

 そして予定地のうち、ソーラーパネルを敷きつめるのは3分の1の16ヘクタールなのだが、伐採した跡地にそのまま設置するのではなく、大規模に山を切り崩すとともに盛り土をして谷を埋め、平坦地を造成する計画だった。

 伐採が始まって私も幾度か見に行ったが、なんとも乱暴な工事が行われていた。もろい花崗岩質の山を大規模に削って形を変えてしまっていたし、谷筋に土砂が投げ込まれている。表土を剥ぎ取った部分も広く、少しの雨でも崩れかけていた。

 驚くというかあきれたのは、予定地の中にあった「裏の谷磨崖物地蔵尊立像」と呼ばれる磨崖仏が削られてしまったことだ。事情を聞くと、移転させるため石仏部分を岩から剥がして保存しているとのことだが、本当に石仏は傷つかずに剥ぎ取れたのか、その後の石仏の姿は公表されていないからわからない。見た目は、まるでタリバンに破壊されたバーミヤンの大仏のようだ。

( 以下略 )

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