「史上最大」と中国が警戒、リムパックに日本は「いずも」派遣…台湾招待は見送り 2022.6.26

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news.line.me

2022年6月24日

米海軍主催の多国間海上訓練「環太平洋合同演習(リムパック)」が29日に米ハワイ沖などで開幕する。日韓豪など26か国が参加する予定で、西太平洋の海軍力で米国をしのぐとも言われる中国の抑止を強く意識した演習となる。台湾の招待は見送られた。(ワシントン支局 田島大志、中国総局 大木聖馬)

 

前回の2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で規模が縮小されたため、本格開催は4年ぶりとなる。

 今回の参加国の顔ぶれは、中国への対抗色が鮮明となっている。バイデン政権が対中政策の中核に据えるQuad(クアッド=日米豪印)、AUKUS(オーカス=米英豪)の構成国がそろうほか、南シナ海に面する諸国が参加する。中国が影響力を強める南太平洋の島国トンガも招待し、米国の関与強化を印象付ける。

 オバマ政権下の14、16年には、中国もリムパックに参加していた。演習を通じて中国に国際ルールの順守や透明性の向上を促す狙いがあった。だが、米海軍はその間、「中国に手の内を明かすような訓練ができなかった」(日米関係筋)といい、内容は災害対応などに重きが置かれた。こうした経緯から、トランプ政権下の18年には中国の南シナ海への進出を理由に招待を取り消した。

 今回は、対中国を念頭に主要参加国の最先端能力の統合を図るものになりそうだ。無人艇など米海軍の最新のシステムを活用するほか、サイバー戦や電子戦を想定した共同演習を行うとみられる。

 また、米空母に加え、海上自衛隊護衛艦「いずも」や韓国海軍の強襲揚陸艦馬羅島(マラド)」など各国最大規模の艦艇が派遣される見込みだ。

 米上下両院は昨年12月に可決した国防権限法で、リムパックへの台湾招待を盛り込んだ。今回、米国が見送ったのは、中国との過度の対立を避ける狙いがあるとみられる。

 それでも中国は強く警戒している。中国国営中央テレビは、リムパックについて「再び冷戦思考に戻って大国間対抗を進めている」とする軍事専門家の声を伝えた。

 中国は今回の規模が「史上最大」(中国紙・環球時報)になると見ており、参加国間の共同作戦能力の向上に神経をとがらせているようだ。同紙英語版は海自が「いずも」を派遣することなどを報じ、「平和憲法に違反」していると主張した。

 中国は18年のリムパック期間中、ハワイ沖に情報収集目的の艦艇を展開し、20年には中国周辺の4海域で軍事演習を相次いで実施した。今年も演習や情報収集を行い、対抗する姿勢を打ち出すとみられる。


 ◆環太平洋合同演習(リムパック)=米ハワイ沖などで2年に1度開催される世界最大の海上演習。米海軍が主催し、冷戦時代の1971年に始まった。今回は艦艇38隻と潜水艦4隻、航空機170機以上と約2万5000人が参加する。海上自衛隊は1980年から毎回参加している。ロシアも2012年に参加実績がある。

 

 同盟国に加えクアッド、オーカスなどの重要グループや、欧州各国などと相互運用性が向上すれば、危機の際に海上連合を構築するのに役立つ。中国の抑止につながる最も強力なシグナルは、米国が中国にはない質の高い同盟・友好国との共同演習ができるという優位性を示すことだ。

 中国とロシアが協力を深めているが、米国と同盟・友好国との関係には遠く及ばない。

 ただ、台湾の不参加は機会を逸したと言える。台湾の防衛力は友好国との演習の場があれば大幅に改善できるが、そのためには定期的な共同訓練が欠かせないからだ。

 西太平洋での海軍力のバランスは米中だけ見ていては十分でない。海上自衛隊が加われば米国有利になる。海自は西太平洋で最も重要なパートナーで、今回どのような演習を行うのか興味深い。中国の野心にどう対抗するか、意志を示すことにもなる。

(聞き手・ワシントン 田島大志)

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