【文春報道】旭川14歳凍死、第三者委が認定した「イジメ6項目」https://t.co/jHK88BXg5O
— ライブドアニュース (@livedoornews) 2022年4月13日
「先輩女性へのおごり行為」や「猥褻画像の要求」「ウッペツ川での自殺未遂」などを「イジメ」と認定。また、今回の聞き取り調査によって、新たに2人を「イジメの加害者」として認定したという。
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2022.4.13
昨年3月に廣瀬爽彩(さあや 当時14歳)さんの遺体が見つかって1年、そしてイジメを受けてから3年。世間の注目を浴びた“凄惨な事件”が大きな山場を迎えようとしている。
2022年3月27日、イジメの有無の再調査を行ってきた第三者委員会は「イジメとして取り上げる事実があった」として爽彩さんが受けた“6項目の事実”について「イジメだった」と認定。その6項目の詳細が文春オンラインの取材でわかった――。
昨年2月13日に自宅から失踪し、翌月に旭川市内の公園で雪の中で亡くなっているのが見つかった爽彩さん。文春オンラインでは2021年4月15日から記事を公開し、これまでに爽彩さんが中学入学直後から凄惨なイジメを受けていたこと、失踪直前までそのイジメによるPTSDに悩まされていた事実などを報じてきた。
これらの報道を受けて、昨年4月に旭川市教育委員会はイジメで重大な被害を受けた疑いがあるとして本件を「重大事態」と認定。昨年5月に設置された第三者委員会はイジメの事実確認や爽彩さんが亡くなったこととの因果関係などの再調査を進めていた。
委員会の発足から10カ月が経った3月27日、第三者委員会は旭川市内で母親と弁護団に調査報告を行った。2019年4月から2019年6月までの「事実経過」をまとめた中間報告書を読み上げ、これまで頑なに「イジメと認知するまでには至らない」という認識を示してきた学校や市教委の結論を覆し、6項目の事実について「イジメだった」と認定したことを遺族側に伝えた。
同日、イジメの真相解明を公約に掲げていた旭川市の今津寛介市長はツイッターで以下のようにコメントした。
《女子中学生が亡くなられた事案について、今回、旭川市いじめ防止等対策委員会の報告があり、いじめとして取り上げる事実があったとの調査結果が出されました。私としても以前から、いじめであるとの認識を示して参りましたが、この度の報告によって本事案の真相解明への第一歩となったと考えており、非常に重く受け止めております》
また、3月30日には旭川市教育委員会の黒蕨真一教育長が協議の場で遺族に対して深々と何度も頭を下げ、事件後初めて謝罪した。
「この度、いじめ防止等対策委員会からイジメとの判断を受けました。認知が大幅に遅れ、その間、ご心痛ご心配をお掛けしたことを深くお詫び申し上げます」
今回、第三者委員会がイジメだったとして認定した6項目の事実とは、これまで文春オンラインが報じてきた「爽彩さんとF男とのトラブル」「深夜の呼び出し行為」「先輩女性へのおごり行為」「猥褻画像の要求」「自慰行為の強要」「ウッペツ川での自殺未遂」である。
文春オンラインが入手した、その“6項目の詳細”には、新たに2人の生徒が「イジメの加害者」だったと記されていた。これまで文春オンラインが報じてきた事件の関係生徒は、爽彩さんと同じY中学校に通っていた2学年上のA子、B男、近隣のZ中学に通うC男、D子、E子の5人だったが、今回の聞き取り調査によって、Y中学校の上級生のF男とG男もイジメを行った加害生徒として認定された。
第三者委員会の調査結果の詳細は以下の通りだ。
【爽彩さんとF男とのトラブル】
2019年4月、爽彩さんは入学直後にF男、B男と知り合いLINEを交換。彼らはオンラインゲームをしながらグループ通話中に、爽彩さんの前で下ネタ話をしていた。F男は個人的なLINEでも爽彩さんと下ネタの会話をし、4月中旬から下旬には公園で爽彩さんの身体を触ったことがあった。
第三者委員会は当時12歳だった児童の前で極めて卑猥な会話や行為をしたとして、《上級生F男、G男、B男(三名が揃っていない場面も含む)が、グループ通話等において年少女児である本人(爽彩さん)がいる状況でも性的な話題を繰り返したこと、個別のLINE(F男との関係)のやり取りにおいても性的なやり取りがなされたこと、F男が本人と性的な意味での身体接触を持ったことはイジメにあたる》とした。
【深夜の呼び出し行為】
2019年5月のゴールデンウィークには、深夜4時頃にF男、B男らにLINEで公園に呼び出された爽彩さんが家を出て行こうとしたところを母親が慌てて止める出来事があった。母親がいくら止めても、爽彩さんは「先輩に呼ばれてるからいかなきゃ」と、パニックを起こしていた。
この「深夜の呼び出し行為」について、第三者委員会は《上級生F男、G男、B男が深夜(ないし未明)の時間帯に本人を含めて公園に集まろうという主旨の会話をグループ通話で行ったこと、それを実行していないにもかかわらずそれを本人に伝えなかったことはイジメにあたる》と認定した。つまり、F男、G男、B男は実際には、公園には集まらず、爽彩さんだけ深夜の公園に来るように伝えたことになる。
【先輩女性へのおごり行為】
爽彩さんは亡くなる1年前にネットで知り合った友人に対して、「会う度にものを奢らされる(奢る雰囲気になる)最高1回3000円合計10000円超えてる」という悩みをメッセージで打ち明けていた。第三者委員会の調査で実際に先輩のA子へおごり行為を繰り返していたことが判明した。《上級生A子が、本人の分のお菓子等の代金を負担する行為(おごり行為)を繰り返し受けていたことはイジメにあたる》。
【猥褻画像の要求】
2019年6月3日、C男は爽彩さんに対してLINEで「裸の動画送って」「写真でもいい」「お願いお願い」「(送らないと)ゴムなしでやるから」と自慰行為の写真を携帯カメラに撮って送ることをしつこく要求。恐怖のあまり、爽彩さんはわいせつ写真をC男に送ってしまった。のちの警察の捜査でC男は、警察から「触法少年」の処分を下されたが、学校側はこの件についてもイジメとは認めていなかった。
しかし、今回第三者委員会は《上級生C男が、本人とのLINEでのやり取りにおいて、性的な話題を長時間にわたって続けたこと、性的な動画の送信要求を長時間に渡って続けたことはイジメにあたる》とした。
【自慰行為の強要】
2019年6月15日、爽彩さんはA子らにたまり場の公園に呼び出された。5人の先輩生徒の他に公園で遊んでいた小学生も居合わせ、複数人が爽彩さんを囲んだ。そのうちの一人の男子生徒が「爽彩が男子中学生に裸の画像を送らされたり、わいせつなやりとりをしていた」と話すと、周りを取り囲んでいたA子やD子、E子ら女子中学生が「それ今ここでやってよ。見せてよ」と、その場で自慰行為をするよう強要した。その後、公園に隣接する小学校のトイレに移動し、再び自慰行為を強要された。複数人に囲まれ、逃げ出すことも助けを呼ぶこともできず、爽彩さんはただ従うしかなかった。
第三者委員会は、現場にいながら、その行為を止めなかった生徒も加害生徒となると判断して、《上級生B男、A子、C男、D子、E子が、本人に対して自慰行為に関する会話を行ったこと、本人に対して自慰行為の実行を繰り返し求めたこと、自慰行為の実行を求める発言に対して静観したこと、本人が自慰行為に及ぶ一連の状況を見ていたことは、イジメにあたる》とした。
【ウッペツ川での自殺未遂】
2019年6月22日の夕方、加害グループのA子、C男、別の学校の小学生ら計10人以上がウッペツ川の土手に集まっていた。事件後に母親が爽彩さん本人から聞いた話では、加害グループの生徒は爽彩さんに「今までのことをまだ知らない人に話すから。画像を全校生徒に流すから」と言った。それに対して爽彩さんは「死ぬから画像を消してください」とお願いした。すると、A子が「死ぬ気もねぇのに死ぬとか言うなよ」と煽った。爽彩さんは柵を乗り越えてウッペツ川へ飛び込んだ。A子は当時の文春オンラインの取材でこうした発言をしたことを認めている。
第三者委員会は《上級生C男が本人をからかい、本人が拒否的な反応を示した後もからかうような行動(本人の秘密をその場で大声で言うかのような発言をしたことを含む)を続けたこと、パニックのような状態になった本人に対して上級生A子が突き放すような不適切な発言をしたことは、イジメにあたる》と認定した。
また、第三者委員会は「イジメ」と同様に考える事実として一歩踏み込んだ見解も示した。C男が爽彩さんに送らせた下半身の画像をA子、B男らのLINEグループに送信していた件について、現時点ではイジメとして正式に認定はしていないものの、以下のような認識を示した。
《C男がB男、A子、C男のLINEグループに爽彩さんの性的画像を送信したこと、B男がこの画像をF男とG男に見せたことは「イジメ」と同様に考える必要がある(本人に認識がある場合は、「イジメ」にあたる)。
※上記送信行為及び掲示行為は、本人が直接関与していない行為であるため、本人がこれらを認識していなければ、法の定義における主観的要件を満たさないこととなり、形式的には「いじめ」に該当しないものと考えざるを得ない。ただし、法の趣旨を踏まえて、「いじめ」と同様に考える必要がある》
本来、イジメの認定には本人がイジメられているという認知があったかどうかが必要だが、自分の知らないところでの画像拡散は把握できない。爽彩さんは既に亡くなっているので認知していたかどうかはわからず、法律的にはイジメに該当しない。しかし、この件は「イジメと同様に考える必要がある」と、これまでのいじめ防止対策推進法の定義の範囲を広げる判断を旭川市独自で行ったということである。
第三者委員会によれば、今後、6項目以上にイジメの認定が増える可能性があるという。
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