ロシア側「偽旗作戦」の跡 フェイク動画を分析 2022.2.24

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www.nikkei.com

2022年2月23日

ウクライナ情勢をめぐり情報戦が激しさを増している。SNS(交流サイト)で流れた「ウクライナによるロシア、親ロシア派支配地域への侵入」とされる複数の映像は、フェイク動画の可能性があることが日本経済新聞や英調査報道機関ベリングキャットなどの分析で分かった。米欧はロシア側への攻撃を自作自演する「偽旗作戦」とみている。

 

①「ウクライナ兵がロシア領内に侵入」映像

ロシアのタス通信は21日、ロシア領内に侵入したウクライナ軍車両をロシア軍が破壊し、5人のウクライナ兵を殺害したと報道した。その後、この事件に関わったウクライナ兵がヘルメットに付けていたとされるカメラ映像がSNSで拡散した。

映像には、兵士と車両が移動している様子が映っている。ベリングキャットは、この映像で出てくる車両を「BTR70M」装甲兵員輸送車とみている。ウクライナ軍はBTR70Mを運用しておらず、ベリングキャットは「偽旗作戦」の可能性があると指摘する。

ウクライナは自国軍による攻撃を否定し「ロシアは今すぐ『フェイク製造工場』の停止を」(クレバ外相)と訴えている。

 

タス通信はロシア軍南部軍管区の発表として、事件現場をロシアのロストフ州ミチャキンスカヤと報じた。しかし、日本経済新聞が映像の前半に映る木の位置関係と後半に映る人工物などを手掛かりに映像とグーグルマップの写真を比較したところ、撮影場所はミチャキンスカヤから南西に約180キロ離れたウクライナの親ロシア派支配地域とロシア国境付近の可能性がある。

映像は親ロ派勢力の支配地域からロシアの国境へ向かっているように見える。

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②「親ロ派支配地域にウクライナ兵が侵入」映像

18日にウクライナの親ロシア勢力が流した「ウクライナ軍の侵入」とされる映像は、過去の動画を使った可能性がある。

独立を発表した「ドネツク民共和国」の親ロ派武装勢力は18日、ロシア発の通信アプリ「テレグラム」に映像を投稿した。ドネツク民共和国に侵入を試みたウクライナ兵との銃撃戦とされる。親ロ派はウクライナ側の犯罪を示す証拠と主張していた。

日本経済新聞が動画のメタデータ(属性情報)に残る編集履歴を分析したところ、10日前の8日に作成されたことが分かった。ベリングキャットは2010年にユーチューブに投稿されていた動画の「爆発音」が使われた可能性があるとして「フェイクの可能性がある」としている。

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③「親ロ派支配地域で砲撃激しく」映像

ドネツク民共和国の親ロ派指導者、デニス・プシリン氏は18日、ウクライナ軍による砲撃が激化しているとして住民のロシアへの避難計画を発表した。映像を自身のテレグラムアカウントに投稿した。しかし日本経済新聞メタデータを調べると、映像の作成日は16日だと分かった。米ニュースメディアのアクシオスは大規模な砲撃があったのは17日としている。米ヴァイス・メディアは「緊急避難が事前に計画されていた」と指摘した。

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