「選択的夫婦別姓を考える」? 刷り込みをするでは? なぜ教員がこんなことを? 2021.12.22

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2021/12/19 毎日新聞

選択的夫婦別姓制度が導入されていない現行制度下で、結婚を機に妻の姓に変えたソフトウエア会社「サイボウズ」社長の青野慶久さん(50)を招いた授業が6日、東京学芸大付属国際中等教育学校(東京都練馬区東大泉5)で開かれた。青野さんは同制度の導入を求め、10月の衆院選で反対の立場を取る政治家の落選運動を展開した。青野さんは「世の中は変えようと思う人がいないと変わらない。一人一人の力は無力ではない」と語った。【南茂芽育】

 授業は公民科の楊田龍明教諭が主権者教育の一環として企画し、4年(高校1年)の生徒たちが参加した。

 日本の現行制度では夫婦は戸籍上、同姓でなければならない。このため、青野さんは2001年に結婚した際に妻の姓を戸籍上の姓とし、仕事や社会的な活動では旧姓の「青野」を用いている。

こうした姓の使用で生じる不利益について、身分証明書の名義変更に手間がかかることや、戸籍上の姓と旧姓の使い分けが煩わしいことを紹介。戸籍で妻の姓を選んだ理由として、自身の妻が夫婦の96%で妻の側が改姓している現状に違和感を持っていたことを挙げ、「(自分の場合)妻も夫に名字を変えさせたことをうれしくは思っていない。(現行の)夫婦同姓制度は名字を変えたくない人だけでなく、変えさせたくない人も不幸にしている」と語った。

 これに対し、韓国にルーツを持つ生徒からは「韓国では夫婦別姓が認められていても、男女差別はなくなっていない。日本で夫婦別姓が実現したら本当に男女差別はなくなるのか」との質問も。青野さんは「残念ながらなくならない」と答えた上で、「男女平等を定めた日本国憲法ができてからも、ずっと男女差別は残っている。制度だけでなく、男性中心の風土を変える努力が大事」と強調した。

別の生徒からは「多くの人が、ジェンダーより経済発展などを重要視するのは当然。ジェンダー平等は何の利益を生むのか」という問いかけがあった。青野さんは「古い制度が残り、名義変更などの手続きをする時間を取られると、生産性が上がらない。ジェンダー平等をないがしろにすることが経済の停滞を生む」と持論を語った。

 楊田教諭は授業後の記者の取材に、近年の調査で回答者の過半数が選択的夫婦別姓に賛成だったことに触れながら、「それでも(夫婦別姓)制度はまだ実現しない。制度への賛否は個々の自由が尊重されると考えているが、なぜ、人々の意見が政治を動かせないのか生徒が考えるきっかけにしてほしかった」と狙いを明かした。

 選択的夫婦別姓制度の是非も争点の一つになった10月の衆院選時、同校の生徒たちはインスタグラム(写真投稿アプリ)に投票を呼びかける写真を投稿する取り組みを行った。この取り組みに参加し、今回の授業を受けた小嶋渉瑚(しょうご)さんは「選択的夫婦別姓制度を扱う本のコーナーを図書館に作り、興味を持った人が手に取れるようにするのも良いのではないか」と話した。

 

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